10月の最低賃金改定で何が変わる?大阪1,231円・愛知1,195円と給与確認のポイント

2026年10月1日から、大阪府の最低賃金は時間額1,231円、愛知県は1,195円になります。大阪では54円、愛知では55円の引き上げです。関西テレビも9月30日、賃上げによる家計への効果と、企業の負担を取り上げています。働く人にとって重要なのは、新しい金額だけでなく、自分の給与のどの部分を使って比較するのかという点です。

最低賃金は求人票に掲載された時給だけの話ではありません。パートやアルバイトに加え、月給で働く人も確認の対象になります。一方、改定額や適用日は地域によって異なります。全国で一律に同じ日から同じ金額になるわけではないため、勤務先の所在地に対応する情報を確認する必要があります。

大阪と愛知では10月1日から新しい金額に

豊中市と大阪労働局の公表情報では、大阪府の地域別最低賃金は10月1日から1,231円です。愛知県の公式ページでは、9月30日までの1,140円から、10月1日に1,195円へ変わると案内しています。愛知県の上昇率は、55円を旧額1,140円で割ると約4.8%になります。これは公表額からの計算であり、すべての人の給与が4.8%増えるという意味ではありません。

例えば、愛知県で旧最低賃金と同額の時給1,140円で月80時間働くと仮定すると、改定後も同じ時間を働いた場合、給与は月4,400円増えます。実際の受取額には勤務時間や控除などが関係するため、この金額は控除前の単純な比較です。すでに新しい最低賃金を上回っている場合には、今回の改定だけで同額の賃上げが決まるわけではありません。

最低賃金は雇用形態にかかわらず確認する

厚生労働省によると、最低賃金制度は国が賃金の最低額を定め、使用者にその金額以上の支払いを求める制度です。地域別最低賃金は、原則としてその地域の事業場で働く労働者に適用されます。正社員、契約社員、パート、アルバイトという名称だけで対象から外れることはありません。

また、特定の産業では、地域別とは別に特定最低賃金が定められている場合があります。愛知県は、地域別最低賃金の改定後、新しい特定最低賃金が更新されるまでの扱いも案内しています。自分の仕事がどちらに該当するか判断しにくいときは、労働局や労働基準監督署の説明を確認すると整理できます。

手取り額や給与総額をそのまま比べない

最低賃金との比較に使うのは、毎月支払われる基本的な賃金です。給与明細に記載されたすべての金額を足せばよいわけではありません。厚生労働省は、賞与、臨時の手当、時間外・休日・深夜の割増部分、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などを比較の対象から除くと説明しています。

例えば、基本給と通勤手当の合計では一定額を超えていても、通勤手当を除いた金額で確認すると結果が変わることがあります。税金や社会保険料などを控除した後の手取り額で判定するものでもありません。明細の総支給額と手取り額の間に、制度上の比較に使う金額があると考えると分かりやすいでしょう。

月給制の場合は、対象となる月給を1カ月平均所定労働時間で割り、時間額に換算します。仮に対象月給が20万円、平均所定労働時間が160時間なら、時間額は1,250円です。ただし、160時間は説明用の仮定です。実際の所定労働時間は契約や年間の勤務日数によって異なるため、単純にその月の出勤時間だけで計算しないよう注意が必要です。

給与の締め日と改定日も分けて考える

最低賃金の改定は、給与の振込日に合わせて始まるものではありません。月の途中に締め日がある職場などでは、一つの給与計算期間に改定前と改定後が含まれる場合があります。給与明細を見る際は、支払日だけでなく、どの期間の労働に対する給与なのかを確認することが大切です。

求人票、雇用契約書、給与明細で金額の記載が違うときは、まず勤務先に計算根拠を尋ねると状況を把握できます。時給表示が改定前のままなのか、手当の扱いが違うのか、所定労働時間の計算が異なるのかによって確認点が変わります。説明に疑問が残る場合は、資料を手元に用意して公的な相談窓口を利用する方法があります。

家計の改善と事業の継続をどう両立するか

賃金の下限が上がれば、旧額に近い水準で働く人の収入を支える効果が期待できます。ただ、家計の余裕は収入だけで決まりません。食品や住居、交通などの支出が増えれば、賃上げの効果を実感しにくくなる場合があります。評価する際は、給与額の変化と生活費の変化を併せて見る必要があります。

企業側では、人件費の増加を販売価格や業務改善でどう吸収するかが課題です。関西テレビの報道は、価格転嫁の難しさも取り上げています。ただし、すべての企業が同じ状況にあるわけではありません。取引先との交渉力、客数、利益率、設備投資の余地などによって対応は変わります。

ここからは制度の影響を考える際の論点です。価格を上げるだけでは客数が減る可能性があり、業務を減らすだけではサービス品質に影響することもあります。一方、作業手順や発注方法の改善で、働く時間を有効に使える余地がある職場も考えられます。賃上げが必ず人員削減につながる、あるいは必ず消費を押し上げると、今回の情報だけで断定することはできません。

時給が上がっても労働時間が変わると収入は変わる

先ほどの月4,400円増という例は、月80時間の勤務が続くことを前提にしています。収入は時給と時間の両方で決まるため、シフトが変われば結果も変わります。新しい時給だけで年間収入を見積もるのではなく、予定される勤務時間も確認すると、家計の計画に使いやすくなります。

企業側にも、最低額の改定を確認するだけでなく、役割や経験による給与差をどう説明するかという課題があります。最低額に近い給与を引き上げた際、ほかの従業員との関係がどうなるかは、職場の賃金体系によって異なります。法定の下限への対応と、職場全体の給与設計は関連しますが、同じ問題ではありません。

派遣労働者については、厚生労働省が派遣先の最低賃金を適用すると説明しています。派遣会社の本社所在地だけで判断しない点も確認しておきたいところです。転居先の地域や会社名より、実際の働き方と勤務先を整理して相談すると、適用条件を確かめやすくなります。

最低賃金が変わる際は、雇用契約の金額、勤務予定、比較に使う手当を並べて確認すると、ニュースの新額と自分の給与を対応させられます。疑問点は一つずつ計算根拠を確認し、勤務先の説明と公的な制度案内を照らし合わせることが大切です。

改定後に確認したいのは「金額・対象・時間」

働く人は勤務先の地域の新額、適用日、比較対象になる給与、平均所定労働時間を確認すると、ニュースを自分の条件に結び付けられます。事業者にとっても、給与設定の見直しと、従業員に計算方法を説明できる準備が重要です。最低賃金は生活を支える基礎的な制度ですが、その効果を正確に理解するには、数字と計算の仕組みを一緒に見る必要があります。

参照資料

  • 大阪府最低賃金の案内(豊中市)
  • 愛知県の最低賃金
  • 最低賃金制度の概要(厚生労働省)
  • 対象となる賃金
  • 金額の確認方法
  • 関西テレビの9月30日報道

※2026年9月30日時点で確認できた情報に基づき作成。計算例と論点整理は、資料の事実を踏まえた本記事の解説です。