リコーとエトリアがCircular Newを発表 新規資源21%と再製造の違いを解説

リコーとエトリアは2026年10月5日、資源循環を前提とする生産の取り組み「Circular New」を発表しました。市場で使われた製品から資源や部品を回収し、最新世代の製品を新たに生産する構想です。第一弾はA3モノクロ複合機で、日本と欧州に2027年前半から展開する予定としています。

発表の大きな数字は、新規資源使用率を最小約21%に下げるというものです。ただし、21%は価格の割引率でも、二酸化炭素排出量の削減率でもありません。回収品を元の状態へ戻す再製造との違いを含め、数字の意味と仕組みを整理します。

使い終えた製品を、次の製品の資源として扱う

両社の説明では、Circular Newは企画・設計、生産、利用、回収、再活用を一つの循環として考えます。回収した製品をそのまま販売し直すことだけが目的ではなく、含まれる資源や部品を次の製品に生かす点に特徴があります。

従来の生産拠点に加え、日本とフランスで、市場に近い場所で回収・生産する体制を設けるとしています。リコーのA3モノクロ複合機について、従来の集約生産品と消費地生産品を同じラインアップとして提供する予定です。

ここでのニュースは、新しい取り組みの開始と、将来の生産・出荷の予定です。2027年前半の展開予定は、すべての製品が既にこの方式へ切り替わったという意味ではありません。現時点の発表と、実際に市場へ出る段階を分けて追う必要があります。

新規資源使用率は重量で測る割合

発表は、対象複合機の新規資源使用率を、従来の集約生産では約76%、消費地生産では最小約21%と説明しています。注記では、これは重量比で、回収部品の活用状況などにより変動するとされています。

同じ100という重量の製品を考えると、約76の部分に新規資源を使う場合と、最小約21まで抑える場合の比較です。76と21の差は55ポイント。ただし、この単純な差を、すべての対象製品で常に実現する削減量として扱うことはできません。「最小」と、変動するという条件があるからです。

新規資源使用率21%を、CO2排出量が79%減るという意味には置き換えられません。資源の量と、回収・運搬・洗浄・生産などで生じる環境負荷は、別の指標です。

再生材と、回収した部品の活用はどう違うか

経済産業省の循環経済の解説では、プラスチックを砕き、洗浄し、再び原料にすることなどがリサイクルの例として紹介されています。材料の状態に戻して使う方法と、部品の機能を生かして使う方法には、工程上の違いがあります。

例えば、ある部品をそのままの形で使うなら、状態や寿命、次の機種との適合を確かめる必要があります。材料へ戻す場合には、材質や品質のばらつき、再び加工する工程が論点になります。どちらが適するかは、部品と製品の条件によって変わります。

今回の発表は、再生樹脂や再生鉄などの材料の利用に加え、製品に組み込まれた資源や部品へ活用範囲を広げると説明しています。ただ「リサイクルした」とまとめるより、何をどの状態で使うのかを見ることが、取り組みを理解する手掛かりになります。

元に戻す再製造と、最新世代を生産する構想

発表は、従来の再製造機や整備機のように、使用済み製品を元の状態に近づけて市場へ戻す方法との違いを説明しています。Circular Newでは、回収品を資源・部品として使い、現在の製品ラインアップに含まれる製品を新たに生産するという考え方です。

この違いを理解するには、製品全体を再び使うことと、一部の資源や部品を使って別の製品を生産することを分ける必要があります。「回収した部品を使う」ことだけで、機能が古い機器になると判断することはできません。

一方、最新世代の製品という説明だけで、回収や検査の条件が不要になるわけでもありません。利用者が知りたいのは、必要な機能と品質が満たされ、保証や保守がどう扱われるかです。両社は共通の品質・機能・保証を備えた製品として提供すると説明していますが、個別の契約条件は製品案内で確認する項目です。

循環しやすさは設計の段階から決まる

使用済みの製品を後から回収するだけでは、部品を容易に取り出せるとは限りません。今回の発表は、世代や機種を越えたフレーム・部品の共通化、長寿命化、分解や交換をしやすい構造などを、企画・設計の段階から取り入れてきたと説明しています。

こうした設計には、次の世代でどこまで共通化できるか、長く使う部品と更新する部品をどう分けるかという判断が関わります。性能を更新しながら使える部品を残すには、製品全体を一体として考えるだけでなく、交換する単位を整理する視点が必要です。

この見方は複合機に限りません。修理しやすい製品や、消耗した部分を交換できる製品を考える際にも、利用後の扱いまで設計に含めるという発想が役立ちます。ただし、今回の方式が他のすべての製品にもそのまま使えるとは限りません。

市場の近くで生産する利点と確認点

両社は、市場に近い場所で資源を回収して生産することで、長距離輸送の抑制や安定供給につなげるとしています。資源調達や物流の状況が変わっても、地域内で活用できる資源があることは、生産方法を考える一つの選択肢になります。

ただし、近くで回収すれば必ずすべての負荷が小さくなる、という単純な話ではありません。回収量が十分か、検査や選別にどれくらいの工程が必要か、使えない部品をどう扱うかなども、仕組みの評価に関わります。

資源をどれだけ循環させたかと、生産や運搬でどれだけ負荷を減らしたかは別々に確認したい数字です。比較する際は、対象機種、測定の範囲、前提となる生産方法をそろえる必要があります。

「業界初」の説明にも調査条件がある

発表の「業界初」は、事務機器業界の主要各社の公開情報に基づく、2026年9月時点の自社調査という条件付きです。この言葉を、あらゆる産業や全世界の製品の中で初めてと広げて読むことはできません。

企業の発表は、計画と技術の説明を知る重要な一次資料です。一方、実際の普及や継続的な効果は、製品が展開された後の実績も含めて確認する必要があります。公式説明を正確に読むことと、将来の効果を既に確定した成果にしないことは両立します。

今後の注目点は、2027年前半の対象製品の展開、実際の資源使用率、回収・品質保証の運用です。今回の発表は、循環型生産を単なる廃棄物処理から、製品を設計し供給する仕組みへ広げようとするものです。21%という数字の条件と、製品の提供方法を合わせて見ると、その意味が理解しやすくなります。

参照資料

リコー・エトリア「Circular New」共同発表(2026年10月5日)/リコー「進化する循環」紹介資料(2026年10月5日確認)/経済産業省の循環経済・マテリアルリサイクル解説/資源エネルギー庁のサーキュラーエコノミー解説(背景資料)。